音は、次のようなメカニズムによって感受されます。 @ 音波は耳介によって、外耳に進みます。 A 音波による圧振動を鼓膜に生じます。 以下省略・・・・・・・ いろいろな経路を経て最後に大脳皮質の聴覚野に達し音として感受されます。 この複雑なメカニズムのなかにあって、難聴がどのように生じるかは種々の原因が考えられています。 ここでは、それらについては省略しますが、わたしの咬合治療によって難聴が改善・消失されるのは、次の理由によると考えています。すなわち、耳小骨の可動に関与する小骨筋の問題です。少しこれらの筋について解説しましょう。 あごのズレによって、これらの筋の異常、たとえ筋が硬直して正常に機能が営めなくなって難聴が生じると考えられます。このような状況下にあって下顎位が是正され、筋の硬直が、緩和されて難聴が改善・消失するものと考えます。 難聴・耳鳴りの不定愁訴の一つとして訴える患者さんもよくみられます。私の臨床経験からあごのズレを治すことによって難聴・耳鳴りは改善・消失する患者さんとそのような治療をしてもほとんど効果のない患者さんがおります。 あごのズレを治すことによって難聴・耳鳴りが改善されるメカニズムについて、わたしは次のように考えます。聴覚における耳の働きとその構造は非常に複雑です。音の伝達器としては外耳(耳介・外耳道)、中耳(鼓膜・鼓室・耳管)が、感音器としては内耳(骨迷路・膜迷路)が関係します。これらのなかの鼓室はツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨と言う三個の耳小骨が関節で連結し、音波の骨伝導をおこないます。耳小骨にはそれぞれ耳内筋(耳小骨筋ともいう)が付着しています。そして、外からの音に対して反射的に収縮して鼓膜と小耳小骨の振動を制限し、中耳の伝音効果を低下させています。あごのズレに起因すると考える難聴や耳鳴りは、筋の過緊張による耳内筋の機能不全がかかわりをもっていると考えます。 |